アメリカの消費者は死んでいない
(ニューズウィーク日本版) 2009年10月25日(日)14:00
ロバート・サミュエルソン (同誌コラムニスト)
アメリカと、そして世界にグッドニュースだ。
やはりアメリカの消費者は死んでいなかった。
アメリカの消費者は借金苦と高い失業率のトラウマから立ち直れず、今後も消費は停滞すると一般的には思われている。
つまり、世界最大の経済国の景気回復が、他国よりも後れを取るということだ。
アメリカでは消費者支出が GDP ( 国内総生産 ) の約 70%を占める。
消費の冷え込みは自国の足かせとなり、貿易相手国の利益にも悪影響を及ぼす。
この考えに異を唱えるのが、エコノミック・アナリシス・アソシエーツ社のエコノミスト、スーザン・スターンだ。
消費者の購買力は既にアメリカ経済の回復を後押ししており、この傾向は来年も続くと彼女は言う。
なかでも自動車と軽トラックの販売台数は、今年の 1060万台から来年は 1440万台に回復すると予測。
住宅の売り上げも、今年の 58万5000戸から来年は 103万8000戸へと、ほぼ倍増を見込む。
個人消費は今年 0.5%減少したが、来年は 4.8%上昇するという。
パソコンから車、チーズまで、外国の輸出業者は恩恵を受けるだろう。
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人々は借金を返したか破産した
近頃の個人消費の強さは 「 キャッシュ・フォー・クランカーズ 」 ( 燃費のいい車に買い換えれば助成金を出す制度 ) によるものとする考えを、スターンは否定する。
彼女はまた、高額の負債や高い失業率による悪影響が誇張されてきたと指摘。
実のところ、人々が抱える負債は劇的に減少しているという。
平均的な世帯の可処分所得のうち月ごとの利息や元金の支払いが占める割合は、07年 8月に 15.8%という最高値を記録した後、現在では 13.5%にまで低下した。
不況下ではかなり低い割合だと言える。
アメリカ人は既に借金を返したか、そうでない人は自己破産してしまっている。
さらに金利も低下。 こうした要因が、負債という重荷を軽減した。
一方で株価と、株価ほどではないが不動産価格の回復も各世帯の純資産 ( 資産から負債を引いたもの ) を安定させている。
スターンの見積もりでは、米世帯の純資産は今年 3.7%増加し、来年は 6.9%増加する。
08年には 17.2%も縮小していた。 これも消費者を勇気づける要因だ。
確かに、9.8%という失業率はぞっとする高さだし、これからもしばらくは高いままだろう。
スターンは来年の失業率を 9.6%と予測する。
だがこの数字に表れていないのは、職を失う人の割合が激減することだと彼女は言う。
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小売業の株価回復も好材料
雇用の伸びも、少しずつ回復しつつある。
「 人々は過去ばかり振り返る傾向がある 」 と、スターンは言う。
「 彼らは現在起きていることに目を向けない 」
スターンは、消費者支出の強固さを示す指標に注目する。
小売大手の株価の上昇だ。
「 こうした企業の株価は 9カ月間、上がり続けている 」 と彼女は言う。
百貨店メーシーズは 5.07ドルの最安値から約 20ドルに上昇。
同じく百貨店の JCペニーは 13.71ドルから約 37ドルに、サックス・フィフィス・アベニューは 1.50ドルから約 7.45ドルにそれぞれ回復した。
この不況で、アメリカ人の貯蓄率は増加するだろう。
だがその増加率は緩やかで、消費の回復を妨げるほどではないとスターンは言う。
とはいえ彼女は、次のように警告する。
短期的な回復は楽観視できても、最終的には高齢化によって消費は減速するというのだ。
高齢者は収入の面でも消費の面でもピークを過ぎた人たち。
もちろん世界経済にとっては、そんな先のことより前に心配すべきことは多いのだが。
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久々に経済関連で明るいニュースを見付けたので、丸々載せてみました。
彼女の言うとおりであれば良いな、と思いますし、そう荒唐無稽な話でもないのではないか?とも感じます。
人間はしぶといですから、何時までも焼け野原に呆然と突っ立っていることを望まないでしょう。
だから、彼女の予言する未来もアリかな、と ・・・。
まぁ、間違っても、「 アメリカの消費者は死んで、居ない!」 には、ならないことを切望します。
リーマン・ショック以来、焼け野原に取り残された気分でいるアメリカ経済でしょうが、しぶとく立ち直って欲しいものです。