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知名度イマイチだったようなので ・・・ / 2006.05.30 Tuesday

先日最後の方にちょっと持ち出してしまった 「 チェシャ猫 」 の
ことですが ・・・。
「 よく論じられてはいるが、( チェシャ猫の場合特に、実在の動物
ではないため )、議論の決着を目指す自体が無意味。
という見本として挙げたものです。
いちいち断りを入れてはいませんが、ああしておいた方が、
「 ニワトリ・卵論争 」 に決着が不要と考えていることが
より伝わり易いかな、と考えてのことだったのですが ・・・。

しかし、何となく思っていたほどには知名度が無かったようで ・・・。
一応、簡単に 「 チェシャ猫 」 の事を書いておきますので、
興味の有るむきは、どうぞ。

コメントにも入れていたように、「 閑古鳥が鳴く 」 と同系統で、
その動物がどんなだかに、殆どウエイトの無い慣用句です。
「 閑古鳥が鳴く 」 が、「 不人気で閑散としている様 」 を表わすのと
同様、チェシャ猫のように笑う ( grin like a Cheshire cat ) も、
読み手に対して、「 温かみの無いニヤニヤ笑い 」 のイメージを
喚起すれば使命は果たされたということになります。

厳密に言うなら、閑古鳥の方は郭公 (かっこう) の別称ですから実在、
チェシャ猫はあくまで架空の生き物なのですが、用法には
大差がありません。

↓  ↓  ↓  が、世界で最も有名なチェシャ猫。
ルイス・キャロルの 「 不思議の国のアリス 」 に登場する、
余りにも有名な挿絵です。挿絵はジョン・テニエル。

そんなには、使用頻度の高い語句でも無かったようで、英語圏に
生まれた人でも、この挿絵とともに、
「 アリスでチェシャ猫を知った 」 という程度だとか。





アリス   : すみませんが、私はどちらに行ったらよいか教えていただけませんか。
チェシャ猫 : そりゃ、おまえがどこへ行きたいと思っているかによるね。 
アリス   : どこだってかまわないんですけど
チェシャ猫 : それなら、どっちに行ってもいいさ。
アリス   : どこかに着きさえすれば・・・
チェシャ猫 : そりゃ、きっと着くさ。着くまで歩けばの話だけど。

 L. Carroll 作の Alice in Wonderland に出てくる Cheshire cat より


もっともポピュラーなジョン・テニエル以外にも、私の大好きな画家
アーサー・ラッカム ( 1867-1939 ) も素敵な挿絵を描いています。





テニエルもディズニーもブルー系のエプロンドレスを着せたアリス
については、ラッカムは、ピンクの薔薇の模様のワンピースを
着せています。柔らかい色調で、このアリスも中々良いのでは?
ついでに、載せておきますネ♪





--- 以下、資料 ---

チェシャ猫のように笑う、とは?

チェシャ猫を辞書で引くと、

Chesh・ire

[名]

1 チェシャー:イングランド北西部の州;州都 Chester.

2 [U]チェシャーチーズ(Cheshire cheese):堅いチーズ.

grin like a Cheshire cat

得体の知れない笑いを浮かべる.

・・・ と出てきます。


アリス・ファンにはすっかりお馴染みですが、Cheshire-Cat は、
キャロルの時代にはよく使われた成句 “ grin like a Cheshire cat ”
から逆成された生物です。
キャロルも読んでいたに違いないチャールズ・キングズリーの
『 水の子たち 〔 The Water-babies 〕 』 (1863.) 第3章には、
カワウソがチェシャ猫のように笑う、というくだりがあり、
動物が他の動物のしぐさを真似ているかのような可笑しさを
出しているが、
キャロルはさらにひねって、チェシャ猫をチェシャ猫のように
笑わせたという訳です。

現在ではまた関係が逆転し、『 不思議の国 』 が産んだ、
この人気キャラクターのため、“ grin like a Cheshire cat ”
という言葉が記憶され、その謎めいた起源を探るべく、
学者や好事家が奔走することにもなっています。

笠井勝子教授も1989年の夏、チェシャー州を駆け回り、
チーズ製造所などを訪れました。
ガードナーの 『 決定版 注釈アリス 』 ( 6章 注3 ) に、
“ 1989年 日本で刊行されたパンフレット ” に載っている笠井論文が
引用されていますが、このパンフレットとは、
文教大学女子短期大学部英語英文学研究室編 《 英米学研究 》 の
第24集 ( 27-38頁 ) 。
笠井教授の論文は同短大の 《 研究紀要 》 や 《 英米学研究 》 に
多く掲載されていますが、この “ Lewis Carroll and His World ( 4 ) Cheshire Cat ” は英語で書かれたものなので、
ガードナーにも読めたのでした。
まず教授は、When did the Cheshire Cat start to grin?
「 いつからチェシャ猫は、にやつきはじめたのか 」 という問いを立て、
サッカリーの 『 ニューカム家の人々 〔 Newcomes 〕 』 ( 1855 ) に
「 その女性はチェシャ猫のように笑った。 ・・・ チェシャーにいる
ネコに、そんな特異な性質があると最初に発見した博物学者は
誰だったのか?」 という一節があることや、
Captain Grose 〔 ペイパーバックの 『 決定版 』 には、
Captain Gosse とあるが、タイプミスというよりはガードナーの
勘違いか 〕 の 『 A Dictionary of Buckish Slang, University
Wit, and Pickpocket Eloquence. 』 ( 1811 ) に
「 奴はチェシャ猫のように笑う、とは歯と歯ぐきを見せて笑うことをいう 」
と説明されていること等を指摘。
次に、How did the Cheshire Cat come to grin?
「 なにゆえ チェシャ猫は、にやにやするようになったか 」 という
命題のために文献を渉猟し、例えばかつてチェシャーでは
チーズを笑う猫の形に作っていたという説に関連して、
チェシャーがノルマン・コンクェストのあと 500年近くも
政治的独立を保っていた、その自由と独立のシンボルが
猫の笑いだという説や、
cheese の好きな猫 = cheeser cat が転じて Cheshire cat に
なったという説もあること ( 教授自身はこの説には否定的 ) などを
紹介しています。

また、写真を撮るときの 「 チーズ 」 というセリフと、
写真家キャロルとを関連づける説も存在するが、
キャロルの被写体が にやついているなどという例はない、等々と
いったことにも触れられていました。

ガードナーは1995年に笠井教授から手紙を受け取ったのですが、
そこで教授は “ 面白い推測 ” を述べていました。

ボードにのせたチーズの猫を少しずつ切って食べていくと
シッポの先から消えはじめていき、やがてはチーズボードの上に
残っているのは、笑っている口元だけということになる。
それも食べてなくなると、また新しいチーズがボードの上に
現れるということかもしれない。
この引用は 『 決定版 注釈アリス 』 でなく、1991年刊行の
『 不思議の国の “ アリス ” ルイス・キャロルとふたりのアリス 』
からのものですが、われわれ日本人は、いち早く笠井教授の説を
知っていたものでした。


チェシャ猫の正体については、最終解答と呼べるものは
存在しません。
笠井教授の説も、どちらかと言えばキャロリアン・ジョークに
属するものです。

1992年に Joel Birenbaum という人が クロフトの聖ペテロ教会
〔 St.Peter's Church, Croft 〕 で、笑っているような猫のレリーフを
発見しました。
これが今のところ、チェシャ猫のモデルの最有力候補
ということにでもなるでしょうか?

なんでも観察者が視点を下げていくと猫が視界から消えはじめ、
すっかりひざまずけば、にやにや笑いしか見えなくなるというのですがわたしは、まだ、写真ですらこれを見ていないので何とも言えません。


その他の説では桑原茂夫 『 チェシャ猫はどこへ行ったか 
ルイス・キャロルの写真術 』 ( 河出書房新社、1996 ) で、
チェシャ猫の出現や消滅と、現像や露光の問題を結びつけて捉えた
論に説得力があります。
( もっとも、この本での少女写真に関する説明は今では古びている。
当時はハッチ 〔 Hatch 〕 姉妹ほかの写真が日本ではあまり知らず、
キャロルの撮った少女ヌードといえばモード・コンスタンス・マルベリー
〔 Maud Constance Meulbury 〕 の写真が1枚あるだけでした。
現在では逆にマルベリーの写真がキャロル撮影のものかどうかは
疑われています。

また、桑原はキャロルが少年でなく少女のみを相手に写真を
撮り続けたという前提で所感を述べていますが、
元英国キャロル協会チェアマン、エドワード・ウェイクリングの
研究によればキャロルはほぼ100人の少年の写真を撮っていたことが
判明しており、新しい前提で議論し直すことが必要になってきました。
なお、ハッチ姉妹らの写真はステファニー・ラヴェット・ストッフル
『 「 不思議の国のアリス 」 の誕生 』 ( 笠井勝子監修
創元社 〈 「 知の再発見 」 双書 〉 73、1998.2 ) ほかで、
ふつうに見ることができます。)

参考サイト 『 POLIXENI PAPAPETROU 』。
オーストラリアの写真家がキャロルの作品をリメイクした
Webギャラリー。
別段セクシャルな意図を感じさせるものでないにも関わらず、
オリジナルと比較すると生臭くさえ感じてしまう。
特にAlice 扮する 「 乞食娘 」 など、リメイク版の出来は
悲惨と言わざるを得ない。
参考資料 門馬義幸 「 キャロルよもやま話 」 ( 《 Mischmasch 》
4号 ( 2000) 所収 )、
エドワード・ウェイクリング 〔 Edward Wakeling 〕
「 ルイス・キャロルについてあまり知られていない事実
〔 Some Little Known facts about Lewis Carroll 〕 」
( 《Mischmasch 》 6号 ( 2003) 所収 )
モートン・N・コーエン 〔 Morton Norton Cohen 〕 Lewis Carroll,Photographer of Children : Four Nude Studies ( 1979 )
 

 
 
comment
akira | 2007/11/09 7:39 PM
いえ、普通にルイス・キャロルの童話に出てくる方ですよ。
 
comment
与野華佐和子 | 2007/11/08 10:05 PM
チェシャ猫って、フードかぶった人ですか??
(歪みの国のアリス 参照)
comment
与野華佐和子 | 2007/11/08 10:04 PM
チェシャ猫って、フードかぶった人ですか??
(歪みの国のアリス 参照)
comment
akila | 2007/02/27 4:12 AM
コメント有難う。
また、いつでも話に来てくださいね。
■Dヾ(^∇^ ) どうぞ
 
comment
あかね | 2007/02/26 4:46 PM
チェシャーネコ大好きやねん(・∀・*
なんか話しませんかー?(ノω・*
comment
akila | 2006/06/01 6:55 AM
ディズニー版を見ていると、特にそんな感じがしますよね。(=^・^=)

ところで、下にコメントの入っている、「 チェシャ猫症候群 」
について調べてみたら、凄く変った謎の言葉だったんです。
で、新企画 ( ←嘘! 本当は暫らくだけ続く新ネタなだけ。)
を始めました。

冗談で一人遊びをしているだけですんで、どうってことは
ないのですが、一応、シンボルマークを作成ww

↑ 何でやネン!って、つまり暇潰しだからこういう作業が優先される。

良かったら、また、かきこしてって下さいね。
今日辺り、アップしますので。
=*^-^*=
 
comment
hazuki | 2006/05/31 1:02 PM
おもしろ〜いっっ
チェシャ猫って、アリスの作者が作り出したキャラのみだと思ってたんですけど、そんなに色々な由来があったんですね〜。
ふむふむ"φ(・ェ・o)~メモメモ

チーズを端から食べて…っていうのが気に入りました♪
なので私はそれが由来だと信じておきます(笑)
comment
akila | 2006/05/30 8:33 PM
アリスの方は、童話由来の名前同士という事で、よくピーターパン症候群と
並べて紹介されるので知っていましたが、チェシャ猫症候群は
初めて聞きました。

ほんと、どんなんでしょう?
何でも皮肉ってマトモに答えない人とか・・・?
( ̄~ ̄;) ウーン!
 
comment
マロタン | 2006/05/30 5:29 PM
(^-^*)/コンチャ!
不思議の国のアリスをネットで調べてたら
『不思議の国のアリス症候群』ってのを見つけました。
内容は次の通りです。
『当然、ルイスキャロルの「不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)に因んで付けられた名前です。
トッド(Todd)という精神科医が1955年の論文中で命名しました。
自分の体の一部や全体が大きくなったり小さくなったりして感じたり、周囲のものが大きく見えたり小さく見えたりします。遠ざかって見えたり近づいて見えたり、時間感覚の異常も感じることがあると言います。
原因としては、偏頭痛、てんかん、ある種の感染症、LSD等の薬物使用が考えられます。
ルイスキャロルは片頭痛持ちで、自分の体験に基づいてこの小説を書いたと言われています。
また、「不思議の国のアリス」に因んだ医学用語では、「チェシャ猫症候群(Chesire Cat syndrome)」というのがあるようですが、どんな症状かは分かりません・・・』知ってました?



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